3/18(日) 

炎のコバケン ″ と親しまれている小林研一郎指揮、大阪フィルを、初めてシンフォニーホールで聞いた。
シベリウス「フィンランディア」、グリーグ「ピアノ協奏曲」、チャイコフスキー「交響曲第5番」






子供のころ、ラジオからの『水曜日の秘密』と低いこわ〜いおじさんの声と共に
バックに流れていたのがこの「フィンランディア」の初めの主題部分。
100年余り前、ロシアとスウェーデンの二大国の圧政に苦しめられた人々。
このパートは、その人々の心の叫びにたとえられているそうだけど
子供心にも、クレッシェンドしていくメロディに、おびえた思い出がある。

次に続くおおらかな旋律は、森や湖に恵まれた美しいフィンランドを思い描かせる。
ここでのバイオリンが、又すごくいい。
それと、言い添えたいのが、チャイコフスキー「交響曲第5番」での金管楽器の活躍。
華々しい澄み切った響きが、場内に轟いた。

夫とささやき合う。
大阪フィルって、思ったよりすばらしいねと。
この言葉の前に、私はすでに胸が熱くなっていた。
情熱的なコバケンのタクトが、一枚の織物を織るかのように、それぞれの糸を重ねていく。
私にはコバケンと小沢征爾の指揮ぶりは、エネルギッシュな点においては
同じように見えるのだけれど・・・。
ただ、演奏後の彼の楽団員に対する態度には、驚かされた。
楽団員のそばまで行って、丁寧にお辞儀をする。
その態度は、演奏を共に無事に終えることができたという感謝の気持ちにあふれていた。
暖かな空気が、観客の上にまで漂ってきた。
この日のシンフォニーホールは、三階までびっしり埋まった。