”へ” の 字
2012年12月




  電車に乗って、さて、読もうと思っていた本を、忘れてきた時など
  漫然と外の景色や乗り降りの人を眺めている(失礼のないように一瞬だけれど)と
  なかなか、面白い。
  その表情や物腰で、何となく、その人となりが想像できる。
   中には、どんな厳しい人生を歩んできたのかしらと、思える人もいる。

  以前、スーパーで買い物中、大きな柱の前を通った時、そこにふと、嫌な顔の人・・・。
  その柱一面の鏡に写っていたのは、自分自身だった。
  しばらく、後味の悪い思いをした覚えがある。

  よく見ていると、若い人には、あまりないが、歳がいくほど
  口が”へ”の字になっているような気がする。
  笑うといい顔なのに、どんな不満があるのかしら。

  私もそれに気づいたのが何年か前で、それ以来
  常に笑みを浮かべるように、心がけているが、これがとても難しい。
  口角を上げるだけでいいのだが、無意識の時もとなると、なかなかである。

  無垢な赤ん坊を見ているだけで、自然と顔がほころんでくる。
  大人も同様である。
  ”へ”の字の口が消えて、穏やかな表情に出会うとき、
  人は優しくなれるような気がする。

  どうぞ、来る年も、笑顔で皆様とお会いできますように!!